「共用」と「共有」は似た言葉でありながら、その用法や意味には明確な違いが存在します。
一見するとどちらも同じように見えるかもしれませんが、過去にこれらの言葉をどのように使ってきたかを振り返ると、しばしば混同して使っていたことがわかります。
今回の記事では、「共用」と「共有」、これら二つの言葉の違いとそれぞれの正しい使用法について詳しく解説します。
「共用」と「共有」の定義とその区別
まずは、「共用」と「共有」の意味を辞書で確認しましょう。
・複数の人が一緒に何かを使用すること。
共有
① 一つの物を二人以上で共同で持つこと。
② 共同所有の一形態で、二人以上の者が同一物の所有権を量的に分有する状態。最も個人的色彩の強いもの。
この定義から、「共用」は使用方法に関連する用語であり、「共有」は所有権に関連する用語であると理解できます。
例えば、「パソコンを二人で共用する」とは、会社から提供された一台のパソコンを二人で使うことを指し、
「パソコンを二人で共有する」とは、一台のパソコンに対してお金を出し合い、共同で所有することを意味します。
夫婦が家を購入すると、その家は夫婦の共有財産となります。マンションでは、エントランスや廊下、屋上などの共用部分は他の住民と共に利用されます。
一方、マンション内の居住空間は、壁や床、天井で囲まれ、その区域は例えば夫婦のみに属する共有財産となります。これは夫婦が所有する部分です。
「共有」とは、一つの物件に対して二人以上の人々が所有権を持つ状況を指します。
物を複数で購入したり、遺産として不動産が複数の相続人に渡る場合、その不動産は共有の状態となることが一般的です。
また、用語の対比として、「共用」の反対は「専用」や「個人用」であり、「共有」の対義語は「専有」です。
「共用」と「供用」の区別と正しい用法
「供用」とは、辞書によると「多くの人の使用のために提供すること。使用に充てること。」と定義されています。
この定義はやや抽象的に感じられるかもしれませんが、具体的には多数の人々が利用できるように物や場所を提供することを指します。これは一般的に公的な文脈で見られる行為です。
・新しく開通した市道が一般に開放された。
・国有地が地域住民のための運動場として開放される。
・地域の供用林
「共用」と「供用」の主な違いは、前者が複数の人が共に何かを使用することを指し、後者は広範囲にわたる公共の利益のために何かを提供することを意味します。
「共同」と「共用」の用語解析と適切な使用法
「共同」という言葉の辞書定義は以下の通りです。
① 複数の人々が協力して取り組むこと。
② 複数の人や団体が、同じ目的のために一緒に事を行ったり、同じ条件・資格で関わったりすること。
第一の意味における「共同」は、「共同プロジェクト」のように、複数の人が協力して一つの目標に向かう状況を指します。
第二の意味では、「共同」の使用は所有や利用に関連することもあれば、単に複数の人々が一緒に活動を行うことも指します。例えば、「共同経営」は、仕事の面でのパートナーシップを表し、これには「共用」の利用や「共有」の所有概念が含まれることもあります。
また、「共同墓地」などの用例では、その墓地を利用する権利を持つ複数の人が墓地の使用に関与することを意味します。
総括
これまでに解説した内容は、「共用」と「共有」の定義とその使い分けについてでした。
「共用」とは、複数の人が共に何かを使う行為を指します。一方で、「共有」は複数の人が共に何かを所有する行為を指します。
これら二つの用語は、ある物の使用方法と所有権を明確に区別して使用すべきです。
個人的な経験に基づく家訓として、「共有はトラブルの源、親兄弟でさえ共有は避けるべき」という教えがあります。
しばしば、土地や別荘共有をしている方もおられますが、これが原因で後々問題が生じることも少なくありません。
皆さんがこのような状況をどのように扱っているのか、非常に興味があります。
この記事が「共用」と「共有」の理解を深め、適切な用語の使い分けに役立つことを願っています。